Vol.11 Cadillac PLACE 旅する美食 Vol.11 Cadillac PLACE 旅する美食

March 30, 2018

蔵出し近江牛を眺めのいいテーブルで。

Vol.11 旅する美食|LE POINT DE VUE

Text by

Taki Masashi

眺めの良い場所へ、眺めのいいエスカレードで

琵琶湖の東岸に、とびきりの近江牛を出す店がある。仏語でビューポイント、つまり眺めの良い場所の意を持つ『ル・ポワン・ドゥ・ヴュ』だ。その名のとおり、窓からは琵琶湖を一望。近江牛に長けた老舗『カネ吉山本』直営のレストランだから、水辺の景色を楽しみながら特上の肉料理が楽しめる。ちょっと他にはないその取り合わせと、隠れ家的ロケーションで日本全国にファンを擁し、今年30周年を迎えるという。
店のある近江八幡には(織田)信長の城、安土城跡も。本能寺の変直後に火が放たれ天主は消失したが、その周辺の石垣は火で表面が割れ砕けたままで今でも生々しい。このあたり、歴史の積層具合が厚く深く濃いので、歴男、歴女のドライブ先としても申し分ないだろう。春には桜並木の下を舟で巡る水郷めぐり・八幡堀めぐりという楽しみもある。

冬と春が目まぐるしく入れ替わる端境の頃、キャデラック エスカレードの鼻先をその眺めの良い隠れ家に向けてみた。アメリカンラグジュアリーの権化ともいうべきエスカレードは、天候や路面状況の急変をものともしない、優れたツーリングカーだ。豪雪地帯並みの雪景色となった名神・関ヶ原付近をも粛々と通過。彦根インターチェンジを降りた後の不意の降雪にも臆すること無く、予定通り『ル・ポワン・ドゥ・ヴュ』に到着。テーブルに案内されれば、なるほど眺望が素晴らしい。豊かな湖水の向こう、琵琶湖対岸には武奈ケ岳(ぶながだけ 1,214.4m)・比良岳(ひらだけ 1,051m)・打見山(うちみやま 1,103m)・蓬莱山(ほうらいさん 1,174.3m)などが、連なっている。ちょっとスイス、モントレーからのぞむフレンチアルプスのようでもある。

期待したのはやはり肉。そしてその日のコースで期待を超えたのも肉だった。アミューズの 〝近江鶏 ナッツのパテ〟 (写真 下左)は豊潤ながらやさしい一皿。載せられたキンカンのシロップ漬けに至るまで味わい深く、それはこれからの肉料理への吉兆でもある。 〝養老豚のラグー〟 (写真 下右)は、スライスされた角煮と春野菜の炊き込みのよう。養老豚の肩ロース肉が浸されたのは、アゴとサバ節からとった出汁にメイプルシロップと黒胡椒を合わせたスープ。地元産の野菜は、どれも春の苦みを携えていた。窓の外、時折雪雲がかすめていくなか、皿には美しき青き春が盛大だ。

その後の、冬の滋味を濃縮させた 〝カブのポタージュスープ〟 や、ふっくらと甘い 〝天然鯛のポワレ〟 もうれしかったが、強く印象に残ったのはやはり 〝特選近江牛ロース肉のグリエ〟 (写真 下)。享楽的な脂ではなく、やや哲学的ですらある赤身の旨味に、しばしナイフが止まったほど。これは美味しいですね、と口に出せば「やはりお客様は肉に期待していらっしゃいますから」と、杉本学シェフはニコニコしている。その笑顔はコースを組み立てている、奇をてらわない優しい味に通底しているような気がした。聞けばオードブルを食べ始めたのを見計らい肉をオーブンに入れ、時間をかけて熱を入れた後、オーブンから出し休ませてからテーブルへと送り出すのだそうだ。それゆえ熱の勢いではなく、鮨ネタのような繊細さと複雑さを宿している。

「わかりやすくて、シンプルで美味しいものが好きなんです。富山から年に数回必ずいらっしゃるお客様、フォアグラが好きで通われるお客様とか、来る度に厳しくご指導いただくコワいけどありがたいお客様とか、もう開業して30年になるので店じたいに親しんでらっしゃる方が多いですね。調理中に自分がちょっと厨房を離れただけで『あんた、あの皿やってなかったやろ』と、後から指摘されたりします。『ちょっと尖ってたからわかるわ。あんたが作れば丸うて優しい味やから、すぐわかる』と。コワいけどありがたいです」と、杉本シェフ。
窓の向こう、湖岸までの斜面には桜の木々があり、そこは花見の名所でもある。例年3月下旬に開花し、4月に入ってから見頃を迎える。その頃のランチは特に混み合うとのことなので、ご注意を。

キャデラック エスカレードが優れたツーリングカーである理由のひとつに、そのシートの居心地の良さも挙げられよう。アメリカのエクスペンシブなリゾートのバーやラウンジにある、大ぶりのパーソナルソファのように快適だ。そのシートには長距離ドライブをも短くさせる作用もある。ランチをいただいた『ル・ポワン・ドゥ・ヴュ』は 〝眺めの良い場所〟 の仏語だが、エスカレードは 〝眺めの良いクルマ〟 である。そのアイポイントの高さ、見晴らしの良さはエスカレードのアイデンティティであり、その高さを確保しながら安定感、俊敏性をも携えていることは驚くべき美点だ。
それがレストランであろうとクルマだろうと、眺めはいいに越したことはない。……休日の午後渋滞が始まる前に帰路につこうとエスカレードのドライバーズシートに座った瞬間、そんな結論に達した次第だ。

  • ル・ポワン・ドゥ・ヴュ(LE POINT DE VUE)

    滋賀県近江八幡市長命寺町182
    tel.0748-32-8515
    ランチ:11:30-15:00 (L.O.14:00)
    ディナー:17:00-20:30 (L.O.19:30)
    火曜定休

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※「Cadillac PLACE」に掲載されている記事は、取材当時の内容です。お客様がご覧いただいた時点と情報が異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 
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