September 20, 2018
葉山の隠れ家で悠々自適なステーキを。
Vol.17 朝ドラのススメ|Steak restaurant SOUMA
Text by
Taki Masashi

瞬時に豹変するセダンCadillac CTS-Vで
葉山へドライブするのなら、三浦半島先端の三崎まで足を伸ばしてはいかがだろう。そこでは毎週日曜、午前5時から9時迄、新鮮な魚や野菜が山積みの『三崎朝市』が開かれている。その三崎までは、マクドナルド三浦海岸店脇の三浦海岸交差点から東京湾を左手に行く県道215号線がいい。途中の金田漁港でも日曜には朝市が立つし、その先、ヨシが群生する江奈湾干潟(写真 上)は、そこが都心から1時間余とは信じ難い眺め。東京湾に沿って走るこの道は、あまり渋滞せず、適度なアップダウンやカーブ、そして眺望にも恵まれている。

そこへと至る首都高湾岸線も、また良い。ベイブリッジを渡り、さらに直進。クルマもまばらとなった3車線道路は、Cadillac CTS-Vに誂えた舞台のよう。それまで喉を鳴らすに止めていたエンジンを解き放ち、エレガントなバケットシートに身を任せつつゴージャスな加速と咆哮を楽しめば、朝の景色はたちまち早送りに。普段はそつなくセダンとして働き、モードボタンのひとひねり、アクセルペダルのひと踏みで豹変するのが愉快であり、爽快。のどかな葉山に入れば瞬時に牙を収め、粛々と走るさまも、また愛おしい。

葉山大道交差点そばの、かやのきテラス一角に『そうま』はある。鉄板前に立つ相澤豊さん(写真下右・右)と厨房で腕をふるう寿見 昭仁さん(同・左)は、三十年来のコンビ。山小屋風のクラシックな店内には大ぶりのテーブルがゆったりと配され、旧軽井沢のオーセンティックなホテルのよう。狭い店の多い葉山でその悠々とした設えは珍しく、隠れ家的でもある。『そうま』の肉メニューはステーキのみで、肉はA5ランクの黒毛和牛か、A3クラス相当の豪州牛という品揃え。葉山の名を冠した銘柄牛も有名だが、特にこだわらない。「もう40年以上、30万枚以上のステーキを焼いて、肉屋さんともお付き合いしてきて、銘柄にこだわるのはうちのスタイルではない、というのが結論です」と相澤さん。

その日は奮発して、和牛のヒレ 230gを焼いていただき、それを洋風(冒頭の写真です)と和風(写真 下・右)に仕立てていただいた。洋風のワインソースも、創業以来変わらぬレシピで人気の和風タレも甲乙つけ難いが、何より肉が素晴らしい。赤身の旨さ、脂の旨味のバランスが頬張るごとに変化する。その日の和牛は甲州牛とのこと。しかしそれは甲州牛ゆえではなくA5ランクのヒレゆえだった。『そうま』では最高級とされるテンダーロインの中央部も、特にうたうことなく、単にヒレとして切り分けている。

毎週、テニス帰りに寄る90歳オーバーの女性客がいて、彼女のオーダーは決まって黒毛和牛のヒレなのだそうだ。そう聞き、それは実に頼もしい健啖家!と感じ入ったが、ステーキをいただいた後に納得できた。相澤さんの審美眼にかなった肉、そして丁寧な焼きであれば、あっという間、意識するよりさらに早く肉は皿から消えてしまう。しかも腹への収まり具合も申し分ない。健啖家である必要などない。熟成肉の濃い旨味に疲れたら、いかにも素直でストレートで瑞々しい、クラシックなまでに正当的な『そうま』のステーキが恋しくなりそうだ。それはどこか都心から通勤圏内ながら、悠々自適な風が吹く葉山とも重なる味だった。
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Steak restaurant SOUMA
ステーキレストラン そうま -
CADILLAC CTS-V
キャデラックレーシングのDNAを
受け継ぐ、究極の「V」を冠したセダン。
649PS/6,400rpmを誇るV8 6,156cc
インタークーラー/スーパーチャージャー付エンジンを搭載。
全長×全幅×全高=5,040×1,870×1,465㎜
¥14,750,000(税込)
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