July 20, 2019
天空の城の城下町で但馬牛のグリエを
Vol.27 朝ドラのススメ|EN Takeda Castle Town Hotel
Text by
Taki Masashi

特別な旅へと誘うCadillac エスカレード
兵庫県に老舗酒造所の発酵蔵を美しくリノベートしたレストランがあるという。そこは地元産食材に並々ならぬこだわりを持つホテル(オーベルジュと言ってもいいだろう)のダイニングでもあり、なかでも但馬牛フィレのグリエの評判がとてもいい。と、聞きつけCadillac エスカレードの鼻先を兵庫県朝来市に向けてみた。そこは天空の城、日本のマチュピチュとも称される竹田城(写真 右下)の城下町。山頂の竹田城跡と円山川沿いの城下町を結ぶ道には、見事な12連アーチの虎臥城(とらふすじょう:竹田城の別名)大橋が(写真 上)。北海道上士幌町の糠平湖にあるタウシュベツ川橋梁を彷彿させるその佇まいは、ちょっと日本離れしたスケールだ。ちなみに橋上を往くのは播但連絡道路である。

エスカレードはその優れた後席居住性ゆえリムジンとしても申し分無いが、タッチの良い大ぶりのレザーシートに腰掛け、ハンドメイドのトリノレザーで設えられたステアリングを握り、高いアイポイントからはるか彼方を見渡せば、ごく自然に旅へと誘われる。誘われるまま夏のドライブを満喫し、竹田城 城下町 ホテル ENへ。そこはJR播但線 竹田駅至近の元酒造所。黒瓦と漆喰の白のコントラストが美しい蔵屋敷に迎えられた。

その日いただいたランチコースの前菜は神鍋(かんなべ)田村鱒のコンフィ(写真 左下)。これがまず素晴らしかった。 〝半生〟 よりやや生寄り、あえて言えば 〝3/5生〟 程度の低温による絶妙な火加減。しかも火を入れてから冷やしているからプリッとした食感で、口に入れば溶けていく。かすかに効かせたビネガーにより身の甘みを存分に引き出されていて、その一皿でメインへの期待は否応なく高まった。

果たして但馬牛フィレのグリエ(冒頭の写真をご参照ください)の火加減も完璧で、厨房を仕切る江口裕二シェフは低温調理に造詣が深そうだ。食後、テーブルに訪れたシェフにうかがえば、低温調理に限らず地元産の食材の美味を引き出す調理法に日々トライしているとのこと。それにしてもフィレのグリエの火加減はお見事。火加減がいいのか、但馬牛がいいのか、わからなくて困りますと告げると、江口シェフは「両方かもしれません」と笑顔になった。

食後に客室も見せていただいた。ホテルといっても棟それぞれが独立している。城下町竹田のメインストリートを挟んだ数軒の町家、それぞれにステイできる趣向だ。古民家の梁や壁など躯体は残し、インテリアは適度にモダンに。一軒一軒、コンセプトもデザインも異なるのが面白い。ダイニングのあるメイン棟、旧木村酒造蔵屋敷の2部屋を含め、全6棟13室のバリエーションがあるとのこと。城下町にあたかも暮らしているかのような滞在が楽しめそうだ。

自分が歳時記を編むことになったら、エスカレードは夏の季語にしようと思う。フロントグリルの重厚なガルバノクロームが夏の日差しに輝く様はいいものだし、トライゾーンオートコンディショナーで広大なキャビンが瞬時に冷やされるのも心地良い。何より夏空のもとのドライブではより強く旅に誘われる感がある。センターコンソールには500mlのペットボトルを立てたまま収納できるキャビネットがあり、そこにはペルチェ式の冷却ユニットも組み込まれていて飲み物が温まらないのも、夏に嬉しい仕様である。

取材を終え、ENを辞そうとしたところ、ラグジュアリーカーを見慣れているだろうホテルスタッフからもエスカレードは大いに注目された。印象的だったのは、20代とおぼしき女性スタッフをして「クルマを欲しいと思ったことは無かったのですが、このクルマ欲しい、と思いました」と言わしめたこと。昼過ぎに辞してしまったので、夕暮れ時に縦に連なったコーナーリングランプが煌めく美しさや、エンジン停止時にリアバンパーからCadillacクレストロゴが路面に照射されるのを披露できなかったのが心残りだ。だから今度は泊まりで行こう、と心中誓った次第である。
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CADILLAC ESCALADE Platinum
キャデラックならではのフルサイズアメリカンSUV。
全長5,195×全幅2,065×全高1,910mmのボディにV8 6,153ccエンジンを搭載。
8ATとセレクタブル4WDが組み合わされている。
¥13,716,000(税込)
※「Cadillac PLACE」に掲載されている記事は、取材当時の内容です。お客様がご覧いただいた時点と情報が異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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