SUVは、もはや傍流ではありません SUVは、もはや傍流ではありません

culture May 22, 2017

SUVは、もはや傍流ではありません

あなたは知らない、アメリカ車の真実。

Text by

瀧 昌史

カーエッセイスト

21世紀を迎えるにあたり、Cadillacの前にはある壁が立ちはだかりました。それはオーセンティックでラグジュアリーなホテルや、名門ゴルフ倶楽部等とも共通する壁です。熱烈に支持されたがゆえ、その世代が愛用するブランドというイメージが定着。次第に若い世代との間に壁が生じたのです。

その壁を崩したのが、1999年に登場したCadillacエスカレードでした。贅を尽くした空間、羨望を集めるデザイン、最先端のテクノロジー、高度な安全性や機能性を備えたこのフルサイズSUVは、またたく間に新たなCadillacオーナーを獲得。21世紀的な成功のシンボルとして、若い世代のセレブリティや起業家などに絶大なる支持を得たのです。

それはハイアット ホテルズ アンド リゾーツが『パーク ハイアット』で、ヒルトン・ホテル・ファミリーが『コンラッド ホテルズ&リゾーツ』で、世代交代を遂げた新たな富裕層の需要にこたえ続けたのにも似ています。

さらにエスカレードリリースから4年後の2003年にはSTSの“シグマ・アーキテクチャ”とFRプラットフォームをベースに、AWD機構を組み込んだ新たなSUV、SRXを発表。エスカレードに比べ、ほんの少しコンパクトなボディは、使い勝手の良さもあり、さらに新たなCadillacオーナーを増やすことに成功しました。

NYにオープンしたキャデラック ハウスにディスプレイされたCadillac XT5。SUVがCadillacの中核であることを物語る

20世紀のCadillacの栄華に親しんだ方には、あるいは「CadillacにSUVなんて……、」との思いがあるかもしれません。タフな大径タイヤを履き、1.9m弱の高を携えた初代エスカレードに「これもCadillacなのか……」と驚かれたことでしょう。しかしCadillacはSUVという新たな器を得て、一層の輝きを得ることに成功しました。SRXはXT5へと進化。今年中の日本市場導入が決定しています。

もはやSUVはCadillacの傍流ではありません。21世紀のCadillacを示唆する野心作ではありましたが、もはやその主軸を担いつつあるのです。