キャデラックは、なぜ「ニューヨーク」なのか? キャデラックは、なぜ「ニューヨーク」なのか?

brand May 22, 2017

キャデラックは、なぜ「ニューヨーク」なのか?

あなたは知らない、アメリカ車の真実。

Text by

渡辺慎太郎

CAR GRAPHIC編集長

キャデラックがその本社機能をデトロイトからニューヨークへ移すと聞いた時、ずいぶん思い切った決断をしたと思いました。
デトロイトを離れるということは故郷を捨てるようなものだし、移転先も「なんでよりによってニューヨーク?」と腑に落ちなかったけれど、実際にそこを訪れてみたら彼らの意図するところがなんとなく理解できたような気がします。

本社の1階にある「キャデラック・ハウス」。ここは“クルマを売らないショールーム”で、キャデラックの展示スペースよりもはるかに広い面積を、洋服などを販売するリテールラボ、体験型アートスペース、そしていまニューヨークで人気のコーヒーショップ「JOE」などが占めています。
平日の昼間だというのに結構な賑わいで、年齢層は20〜30歳代がほとんど。半数近くが女性でした。
目の前に広がる光景に思わず「え??」となったのは、彼らがキャデラックのイメージとは遠く離れたところにいるタイプだったから。ここに集う人々はもっと年齢層が高く、ほとんどが男性で、“大人の社交場”のような雰囲気だろうと想像していたので、そのギャップに戸惑ったわけです。

でもすぐに、これこそがキャデラックがデトロイトを離れて新天地としてニューヨークを選んだ理由だと理解できました。
キャデラックがいま、自社のプロダクトを訴求したいと考えているのは、まさにキャデラック・ハウスでコーヒーを飲みながらiPhoneやMac BookでSNSに興じるような世代。
いますぐに彼らがキャデラックのオーナーになることはほとんど望めないでしょう。でも、経済的にも余裕が生まれる40歳くらいになった頃に、彼らのショッピングリストにキャデラックが載るかもしれない。
キャデラック・ハウスに通い、ATSやCTSの横でおいしいコーヒーを飲みながら過ごした午後のひとときは、彼らの記憶の中にしっかりと刻まれているはずだから。