The Taste of Cadillac 鎌倉にて本音の美食と贅沢を。 The Taste of Cadillac 鎌倉にて本音の美食と贅沢を。

June 04, 2018

鎌倉にて本音の美食と贅沢を。

Text by

Taki Masashi

The Taste of Cadillacと名付けられたそのコースには
料理人、中東篤志の京都、NY、
そして鎌倉が盛られていた。
それは朝食を巡る冒険であり、美しい物語。
夏の鎌倉は、いかにも朝が素晴らしい。

鎌倉市佐助にて午前8時開店、コースのみ。

紫陽花が見頃となる初夏は、鎌倉観光の隠れトップシーズンである。そこは海辺の古都でもあり、湘南の海岸線をゆく国道134号線からして渋滞。だから新緑まぶしい頃、鎌倉を訪ねるなら紫陽花で有名な寺と海岸線には近づかぬこと、そして何より朝いちばんで訪ねるのがお薦めである。

渋滞回避の他にも朝の鎌倉を薦める理由がある。鎌倉駅を西へ700mほど行った佐助一丁目交差点角に『朝食 喜心 鎌倉』があるからだ。そこでCadillacとのコラボによる特別メニューを6月29、30日の二日だけ用意されると聞き、ひと足先にXT5 CROSSOVERのステアリングを握り訪ねてみた。店は普段から朝8時前には暖簾を出す。その頃の鎌倉に観光客はほぼ見当たらず、よって喧騒も無く武家の古都らしく実に清々しい。

喜心の料理を監修するのは中東篤志さん。その日は彼自らが板場に立っていた。中東は「なかひがし」と読む、と書けばピンとくる方も多いだろう。京都鞍馬の摘み草料理で名を馳せた老舗『美山荘』で腕をふるった中東久雄さんのご子息である。彼はバスフィッシングのプロをめざし渡米、その後NYの精進料理の店で研鑽を積み、今やグローバルに活躍中。「僕の仕事を京料理とよく言われますが、自分では京料理とか和食とかいう意識が無いんです」と朗らかだ。

器は同じく鎌倉で『ギャラリー うつわ祥見』を主宰する祥見知生さんの目利きで、これがまた素晴らしい。ご飯茶碗は客が選べる趣向で、これがことの他悩ましかった。前述、Cadillacとのコラボメニューには「野菜畑 ~CROSSOVER NYに想いを馳せて~」という中東氏入魂のひと皿(冒頭の写真です)があり、その器は漆作家の矢澤寛彰さん手によるもの。正円の盆のような形をした漆塗りだが、軽金属を思わせる独特のテクスチャーがなんとも楽しい。

二日間限定の特別コースについてはネタバレもいけないので、これ以上紙幅を割く不粋はやめておこう。喜心はコースが基本で、メインは朝食らしくご飯である。山形のつや姫を、彦根の一志郎窯による土鍋で炊き上げたそれを一口頬張った瞬間、15年ほど前にザ・ウィンザーホテル洞爺の2階にあった『美山荘』での朝食を思い出した。自分にとっては『ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン』での夕食より、遙かに思い出深かったことも。ご飯はお焦げまでしっかり味わえるのもいい。素材の味の深み、妙を味わい尽くす贅は、喜心の本懐であり、そのピークは入念に炊き上げられる、このご飯だ。

食事を〝本音と建前〟 に分けるとしたら夕食が「建前」、朝食は「本音」だと思う。旅館で朝いただく干物や生玉子には、えもいわれぬ本音感がある。喜心はその本音を、本音のまま素晴らしく洗練させていた。32歳と(和食界としては)若手ながら世界に開けたNYで踏んだ場数の多さが、建前レスで実のあるコースを結実させている。と、帰路再びCadillac XT5 CROSSOVERのステアリングを握りながらひとり納得した。そういえば、XT5の上質さにも本音がある。インテリアを眺め走り出せば(エンブレムを見ずとも)頭より先、体が上質さを理解する。それもまたキャデラックが世界の富に開けたNYで、かなりの場数を踏んでいる証左であろう。

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